「東京ドーム23杯分」の除染は本当に必要なのか

 そもそも日本の自然放射線量は全国平均で1.5ミリシーベルト、世界の平均は2.4ミリシーベルトであり、1ミリシーベルトというのは自然界の放射線量を下回る。これは原子力施設の中の放射線を管理する基準であり、人々が避難したり帰宅したりする基準ではないのだ。1ミリシーベルト以上の放射線は全国どこにでもあるので、これを基準にすると全国の土を除染しなければならない。


 多くの放射線医学の専門家が提唱する放射線の安全基準は、年間100ミリシーベルトである。広島や長崎の被爆者を調査した近藤宗平氏や高田純氏は、「100ミリシーベルト以下の被曝量で発癌率が増えた統計的証拠はない」として、ICRP基準を強く批判している。たとえば45℃を超える熱湯に手を入れるとやけどするが、それ以下の温度なら問題ないように、放射線の影響にも閾値があるというのが多くの科学者の意見だ。


 これに対してICRPは「100ミリシーベルト以下でも放射線の量に比例して発癌率が増える」というLNT仮説(線形閾値なし仮説)にもとづいて、科学的な根拠のない20ミリとか1ミリという基準を設定している。これについては世界の専門家の批判が強いが、IAEA国際原子力機関)も日本政府も「科学的に決着がついていないので安全側に立つ」という立場を変えていない。

こういう話を中日新聞で読んだことがない。両論併記の原則はどこへ行ったのか?

チェルノブイリ事故についての多くの報告書で共通に指摘されているのは、最大の被害は放射能の恐怖や長期にわたる避難のストレスによる精神疾患だということである。<中略>
安全基準についての科学的な議論を徹底的に行なうべきだ。

残念ながら、日本のマスコミは科学的な議論ができない。


例えばこんな記事。ツッコミどころ満載なのだが、

文科省によると、毎時0・2マイクロシーベルト以上だと年間被ばく線量が一般人の被ばく限度の1ミリシーベルトを超える恐れがある。

0.2マイクロシーベルト/時×24時間×365日=1752マイクロシーベルト=約1.8ミリシーベルト
こんな簡単な計算も文科省によらないと分からないくらい、何も分かってない。


復興を妨げる原因の一つは確実にマスコミにあると思う。