理系と文系の溝

23日の朝日新聞社会面(22面)に、福島の子どもの甲状腺がん被爆との関係の記事が載っています。
<中略>
 岡山大学の津田敏秀教授は、国内のがん登録の結果から、10代後半から20代前半の甲状腺がんの年間推定発生率は、「平均(1975年〜08年)は100万人あたり5〜11人」と指摘し、「福島の子どもの甲状腺がんの発生は数倍〜数十倍高く、多発と言える。今後さらに増える可能性もあり、今のうちに対策をとるべきだ」。
 津田さんの指摘に対し、県立大学の大平哲也教授らから、福島の検査と「がん登録」と比較するのは科学的に不適切などと批判がでた。
 さて、この調査結果と3つの異なる意見(認識)をどのように評価したら良いのでしょうか。
 ところで、「がん登録」は、病院を受診した人を対象とする統計で、同一人物の同一腫瘍が複数の病院を受診したことによって重複登録されることを避ける仕組み。要するに、なんらかの自覚症状があって、病院を受診した人が対象。一方、福島の検査は、全員が検査対象になっている。すなわち、統計の母集団が全く違う。
 ということで、以下、個人的見解です。
 津田教授は、疫学者としては考えられないほどの超々基本的な過ちを犯していることになります。それでも教授というポジションがあることは、恐らく、上記の認識の態度の分類では、タイプ3の人だろうという推測が成り立つように思います。このタイプ3の人には科学者は無理で、本来、政治家が適しているのでは。

 私が問題だと思うのは、明らかに科学的に間違っている意見を、「不適切」との批判が出ていることも承知しつつ掲載する新聞の姿勢である。「不適切」かどうか検討する能力が無いのか、「不適切」と分かって掲載しているのか、どちらにしても問題だ。これは「理系と文系の溝」の問題なのか、それとも新聞社には「タイプ3」が多いということなのか?