陽春花形歌舞伎

隣にすごくオシャレで綺麗な女性2人組が座っていて、すぐ隣に座っていた方は初めて見に来たらしいのだけど、
「結構、意味分かるねぇ〜」とか「面白いねぇ〜」とかおっしゃってました。
オススメです。
そんなわけで、思いつくままダラダラと。


「盟三五大切(かみかけてさんごたいせつ)」
あらすじ:浪人が芸者とその間夫に騙され、それを恨んで追いかけ回す話。
仮名手本忠臣蔵」が下敷きになっていて、討ち入りに加わるための金を騙し取られた浪人の正体は不破数右衛門
芸者小万の間夫の三五郎はゴロツキだが、親の勘当を解いてもらうべく、親の主人が討ち入りに加わるための金を集めるために小万に金を稼がせている。
で、三五郎の親の主人が実は不破数右衛門だったと。
小万もその子供も数右衛門に殺され、すべてを知った三五郎は腹を切り、数右衛門は討ち入りに加わる栄誉は掴むけど、結局はその後で死ぬことになることは皆知っている。
こういうのを見て本気で「感動した!」とか言って墓参りにまで行っちゃうようなヤツの意志を継いで「美しい国」とか「教育再生」とか言うヤツが子供達に植え付けようとしている「規範意識」ってどういうものか想像するだけでも恐ろしいよな。


話が逸れました。
陰惨で後味の悪い話ですが、各所に歌舞伎らしい演出がちりばめられており、とても面白い狂言でした。


今回、そんなに腹も減ってなかったし、イアホンガイドで役者さんのインタビューをやっていたので、幕間では食事に行かずイアホンガイド聞いてました。
その中で菊之助丈が「小万は三五郎を助けたい一心でやっている」というような話をしていて、確かに主要人物3人の中では一番キャラクターがはっきりしているなと。
数右衛門は討ち入りに加わりたいと願う一方で芸者にうつつを抜かしている。
三五郎は勘当を解いてもらいたいけど、悪行を重ねている。
なんだか破綻してるんですよね。まぁ、そういうところが面白いんですが。


三津五郎丈は数右衛門みたいな屈辱を受けて堪え忍んだり、恨みに思ったりする役がとても似合うなぁと。なんだか凄味がすごかったですよ。
一方で、二役で大家さん役で出てきたときはエラいことお茶目で、アドリブで橋之助丈を笑かしたりしてました。


「芋掘長者」
「三五」が暗い話なので、口直し的な舞踊劇。これから観に行く人で「三五」だけ見て帰ろうと思っている人は考え直した方がいいです。食事も1回目の幕間に行った方がいい。
三津五郎丈のヘタな踊りの振りが面白い。ちょっと志村けん入ってた気がする。


松也丈は相変わらず綺麗でした。松也丈の女形は清楚で声も良いのだけど、背が高すぎるのがちょっと惜しいところ。
でもまた見たい。今度は松助さん譲りのコミカルな役も見てみたいです。
あと、筋書の写真が格好良くなってましたね。


ところで、幕間に食事には行かなかったのですが、アイス最中だけは食べに行ったのですよ。
そしたら、前は1個づつその場でアイスを詰めて出してたのに、今回は作り置きのを出してたのですよ。
ここだけはなんだかガッカリでした。